2026年4月9日(木) 19:04
【記者解説】琵琶湖博物館で繁殖に成功した「ヤマトサンショウウオの幼生」を展示
草津市にある滋賀県立琵琶湖博物館は、絶滅危惧種に指定されている日本の固有種「ヤマトサンショウウオ」の繁殖に成功し、今、その幼生・子どもが展示されています。
ヤマトサンショウウオは、滋賀県をはじめ近畿地方などの山間部に生息する小型のサンショウウオで、おとなの大きさは7センチ~12センチほど。尾の縁に黄色の模様があるのが特徴です。
近年は、田んぼの減少や外来種の影響などから生息数を減らし、環境省によって絶滅危惧II類に指定されています。
草津市にある琵琶湖博物館では今回初めて、飼育されている個体での繁殖に取り組みました。自然の繁殖環境に近づけるため、バックヤードに繁殖用水槽を製作し、2月12日に産卵を確認。
3月から、卵から孵化した2センチほどの幼生が水族展示室の一角で展示されています。ウーパールーパーのような可愛らしいエラ。よく見ると小さな手足が生えてきているのがわかります。
琵琶湖博物館の松岡・学芸員は「琵琶湖博物館では昨年度、ヤマトサンショウウオの幼生の展示を行って大変好評をいただいたということと、博物館でもさらなる保全を行いたいということで今回、博物館での繁殖に踏み切った。博物館に来られた方に、こういった生き物がいるということ、どんなところに住んでいるのかなど、創造を膨らませながら見てもらえたら」と話していました。
琵琶湖博物館では、ヤマトサンショウウオの成体は常設展示となっていますが、幼生は6月までの展示を予定しています。
以下に、原田記者の解説を交えて、このニュースを深堀りします。
●日本の固有種であるヤマトサンショウウオが、絶滅危惧Ⅱ類に指定されているということですが、これはどういうことなのでしょうか?
【原田記者】ヤマトサンショウウオが指定されている「絶滅危惧Ⅱ類」は、環境省のレッドリストに用いられているカテゴリーの一つで、将来的に絶滅する可能性が高いと判断された生き物が分類されます。
●どういった要因で、将来的に絶滅する可能性が高いと言われているのでしょうか?
【原田記者】大きく分けて2つ要因があります。1つ目は、大規模な土地開発による生息地の消失です。ヤマトサンショウウオは、産卵するのに比較的浅い止水環境、流れのない水たまりや、休耕田のような場所が必要です。幼生の間を水の中で過ごし、ある程度成長した後は陸に上がり、気温の低い林の中などで暮らします。つまり幼生の育つ止水環境と成体が暮らす林が、連続して存在している必要があります。
開発などでこうした場所が減少してしまうと、ヤマトサンショウウオの生息場所も減少してしまいますし、生息地同士が分断されてしまうことで絶滅のリスクはさらに高くなってしまいます。
2つ目は、ヤマトサンショウウオを捕食する外来種の存在です。アライグマやアメリカザリガニなどの外来種の生き物が生息域に侵入すると、成体、幼生、卵を捕食してしまいます。
●様々な要因によって種の存続が危ぶまれていますが、ヤマトサンショウウオを保全する試みなどは行われているのでしょうか?
【原田記者】機械製造などを手掛ける企業・ダイフクの滋賀事業所では、敷地内にヤマトサンショウウオを保全するための池を設置し、保護・増殖を行っています。
卵をかごの中に入れて保護しながら飼育する取り組みや、水を抜いて外来種の生き物を駆除する取り組みを行っています。また、従業員やその家族向けの自然観察会なども行っていて、事業所全体での環境意識の向上に取り組んでいます。
民間企業だからこそできるアプローチで保全にとり組んでいるのですね。これからも活動を継続して種の存続を守っていただきたいです。