64年ぶりの指定 琵琶湖疏水が国宝
2025年5月16日(金) 18:39

サクラの名所としても知られる「琵琶湖疏水」。春には多くの花見客が訪れます。
「琵琶湖疏水」は、大津市から京都市蹴上まで続く運河で、びわ湖の水を京都に運びます。
現在も利用されていて、運ばれた水は京都市の水道や発電・かんがい用水などに活用されています。

今回、国宝に指定される3つの「隧道」と呼ばれるトンネルのうち、「第一隧道」は、大津市の三井寺町から藤尾奥町に位置します。長さ・約2400メートル、幅・約5メートルのれんが造りで、明治23年に建設されました。

滋賀県内の建造物の国宝指定は、実に64年ぶり。
滋賀県の建設史に詳しい県文化財保護課の坪田主任技師は「これだけ多角的な用途で使われているのは珍しい。しかも、明治のまだ日本が西洋を参考にしようとしていたころに、日本人の手で作られたというのは、全国的にみても貴重で珍しいと思う」と話し、第一隧道には、2つの「竪坑」が含まれており、国宝指定の評価につながったといいます。

人の出入りもあったという、「第一竪坑」の直径は、約5.5メートル。静かな存在感を放ちます。

また国宝以外の重要文化財の指定も行われ、びわ湖と運河の水位差や疏水の水量調整を行う「大津閘門・堰門」などが含まれました。

坪田叡伴 主任技師は「びわ湖があったからこそ、多角的な用途に使えたという面がある。滋賀県民としても誇りを持っていいものだと思う。普通に親しむのもいいし、昔に思いを馳せて、技術的なこととかを噛み締めて楽しむのもいいと思う。」と話していました。